いつのまに

そこはかとない気持ち

ミダース王の耳

ある日


わたしは
ここに


ひみつを吐露しに
やってきた


おかしなことに


”誰にも言うな”と
いわれると
何故だか人に
言いたくなるもの


黙っていると
どんどん胸が
苦しくなって


寝ても覚めても
そのことが
頭から離れない


誰かに
打ち明けたとして
止められるか否か
それよりも


私の心の奥深く
仕舞ったままでいたはずの
耽美なものへの憧れが
形となって 溢れた日


あの日からの
背徳的な行いが
白昼に晒される
だけなのに



ここには


ひみつを吐露するのに
ぴったりの
大きさの穴が
ぽっかりと空いていて


「ここで叫べばいいのに」と
やさしく 誘い
呼んでいるように思えた



ここには


地面が見えないほど
生い茂った葦が
風にそよいでいるような
原っぱがあって


その葦たちが
耳をすませて
声をひそめて
「なんでも話して」
「いつでもすきな時に」と
待っているように思えた


peeping Tomの気持ち
なんとなく わかる


ロバの耳を
見てみたいんだ


本来 居るべき場所に
大きな穴を
掘ることもできず
葦の茂みがそよぐ
原っぱの見つからない
わたしは


だから
ここに
ぽつり ぽつりと
やってくる



でもいつか
吐露する必要が
なくなる日がくる


ミダス王の耳が
元に戻った時


ひみつは
秘密じゃなくなった


それと同じように